日本学術会議協力学術研究団体
日本英語文化学会
The Japan Society for Culture in English

アーカイブ例会報告

第143回6月例会  日時 令和元年6月8日(土)
  場所 昭和女子大学8号館2階2S41
<研究発表>
(1)発表者 小野雅子(國學院大學)
   司会者 本間章郎(駒澤大学)
   発表題 『響きと怒り』における門と柵の表象―ベンジーとのかかわり

発表要旨
 柵(fence)とは、 "a means of protection" "a barrier intended to prevent escape or
intrusion or to mark a boundary" である。門(gate)とは、"an opening in a wall or fence"
である。『響きと怒り』の冒頭は、知的障害を持つベンジーが、柵の向こうのゴルファーを見、ま
た柵に沿って歩く印象的な場面で始まる。柵は、ベンジーが幼いころ、姉とキャディとともに、く
ぐったことを振り返る場面にも出てくる。他方、復活祭の日、ディルシーとともに門を出て、教会
に行こうとする時、ベンジーは泣き止むが、教会から帰ってきて、門をくぐった途端、ベンジーは
泣き始める。なぜ、ベンジーが門をくぐって外に出ると泣き止み、帰宅して門をくぐると泣くの
か、フォークナーは書いていない。柵については、ベンジーがゴルファーの呼ぶ声、キャディに、
姉のキャディを思い出し、泣くというように、研究者によって、指摘されており、確かにその通り
である。しかし、柵にしろ、門にしろ、それらは、外の世界の干渉からコンプソン屋敷を守り、同
時に、外の社会との接触を阻む役割を果たしているのではないか。今回の研究発表では、何を守
り、何を妨げているのかという観点から、柵と門の表わしているものを、特にベンジーとのかかわ
りから考えていきたい。

(2)発表者 福島昇(日本大学)
   司会者 木内徹(日本大学)
  発表題 トニ・モリスン『タール・ベイビー』(I98I)におけるシェイク
  スピア『テンペスト』の受容--ポストコロニアリズムを問い直す
発表要旨
 1981年、モリスンはゴールドバーグらが言うように『テンペスト』の影響を受けて『タール・ベ
イビー』を翻案します。本発表では、キャリバンとサン、プロスペローとヴァレリアン、ミランダ
とジェイディーン、サンとジェイディーンとの影響関係、最後にキャリバンは誰なのかについて、
ポストコロニアルな視点から発表します。タール・ベイビーとは「タールの塊に服を着せボンネッ
トをかぶせた人形に、いたずらウサギがくっついて離れなくなってしまうが、賢いウサギはなんと
かその状況から抜け出す」というアメリカの民話集から取ったものです。つまり、モリスンが言う
ように、「黒人ジェイディーンがタールを塗られた人形であり、黒人サンがウサギです」。
 『テンペスト』のプロスペローとミランダが西インド諸島の小さな島に漂着したように、サンも
キャリバンがかつて住んでいた西インド諸島の小さな島に漂着します。プロスペローとミランダが
見たのは島の美しい浜辺であり、先住民族のキャリバンであり、エアリエルですが、サンが見たの
は300年前、奴隷たちがそれを見た瞬間、眼が潰れてしまった島の浜辺とアフリカから奴隷として連
れてこられ、大規模農業主に買われ、その元で農奴として働いたアフリカ人の子孫たちです。モリ
スンはポストコロニアルな側面から『テンペスト』と『タール・ベイビー』を結びつけますが、
『タール・ベイビー』を『テンペスト』のようには、ハッピーエンドの形で終わらせません。モリ
スンはヴァルターが主張するように、『テンペスト』について「理想的」な読み方と「修正的」な
読み方をし、『テンペスト』をこの二つの読み方の交差点におき、『タール・ベイビー』の登場人
物ヴァレリアンの中にプロスペローを、ジェイディーンにミランダを、サンにキャリバンの像を見
て、プロスペロー=ヴァレリアンの欧米中心主義的基準に疑問を呈しています。



第142回3月例会 日時2019年3月9日(土)午後4時00分〜午後6時00分
          場所 昭和女子大学)8号館(2S41)
<研究発表>
(1)発表者 須永隆広(昭和女子大学)
   発表題 エンプソンの ‘argufying' − ‘argufying'による批評家エンプソンの
  出発点
   司会者 岸山 睦(昭和女子大学)

 
ウィリアム・エンプソン(William Empson)が ‘argufying' という語を初めて用いたのは、第二の
著書、Some Versions of Pastoral(1935)であり、続くThe Structure of Complex Words(1951)や
Using Biography(1984) の中でも用いているが、どの著書においても、‘argufying' に焦点を当て
た議論が存在すると言えるようなものではなく、むしろ、意識していなければ見逃してしまう程度
の存在でしかないように感じてしまう。しかしながら、彼は、‘Argufying in Poetry’ と題した
論文において、‘argufying' が低次元な語であると述べつつも、詩を読む際には必ずと言ってよい
ほど見出せる議論であると述べていることから、彼が、以前から ‘argufying' という語に意識を
持っていたということが分かる。したがって、本発表では、これまでの自身の研究において定義し
た「異質でありながらも同質である」というエンプソンの ‘argufying' と解釈できる箇所を見出
し、Seven Types of Ambiguityだけでなく、Some Versions of Pastoral や The Structure of
Complex Word、およびUsing Biographyを通して、エンプソンが用いた ‘argufying' と解釈できる
対立概念が、彼の批評の終着点ではなく、出発点であるということを述べていく。



(2)発表者 中川洋子(駿河台大学)
   発表題 小学校学習指導要領外国語活動・外国語」(2017年改訂)の課題
   司会者 水野晶子(拓殖大学)

 本発表は、日本人の英語観分析の一環として、小学校英語教育の課題について検討するものであ
る。2020年から小学校の3・4年生で「外国語活動」が、5・6年生で「外国語科」が導入される。本
発表では、今回の学習指導要領改訂で加筆された「身近で簡単な事項」の意味と、新学習指導要領
の作成に大きな影響を与えたCEFRの扱い方について考察した。
その結果、「身近」な題材には検討の余地があること、CEFRを支える複言語主義の理念への配慮が
ないまま、CEFRを言語学習の到達目標と評価基準に利用しているといった問題を明らかにした。ま
た、効果的な英語教育を目指す過程で、目的別学習という一つの試論を提示する。



第141回12月例会  日時 2018年12月8日(土)午後4時00分〜午後6時00分
         場所 昭和女子大学(7号館7L04教室))

  <研究発表>
  午後4時40分〜午後5時30分
(2)発表者 渡辺 英依美(Cardiff University)
   発表題 English-Japanese bilinguals' vocabulary size: A case  
       study
  司会者 小野雅子(明海大学) 

It has been claimed that bilinguals have a smaller vocabulary size than monolinguals.
However, many studies have focused on bilinguals of English and another European
language. The present study investigated whether the claim was also true for English and
Japanese bilinguals. Participants were 11 English monolinguals, 12 Japanese monolinguals
and 10 English-Japanese bilinguals who were born and/or had lived in an English-speaking
country before the onset of puberty and were constantly exposed to both languages in
daily life.
The results confirmed the previous view on the bilingual disadvantage, but only in
reference to the less frequently used English words. The bilinguals were advantaged over
the Japanese monolinguals in two tests on Japanese active vocabulary and no significant
difference was observed between them for passive vocabulary. The weaker links hypothesis
(Gollan et al., 2008) was proved in the use of English vocabulary, while the competition
hypothesis (Dijkstra, 2005) was also supported in some Japanese vocabulary tests.


第140回6月例会  日時 2018年6月9日(土)午後4時00分〜午後6時00分
         場所 昭和女子大学(8号館5階5L44教室))
 <研究発表>
 午後4時〜午後4時50分
(1)発表者 清水純子先生(法政大学)
   発表題 サイコホラーとして読み解く 川端康成 の『美しさと哀しみと』
   司会者 錦織裕之先生(元立正大学)

  午後5時〜午後5時50分
(2)発表者 中井延美先生(明海大学)
   発表題 「hospitality」と「ホスピタリティ」
   司会者 佐々木隆先生(武蔵野学院大学)   


第139回3月例会    日時 2018年3月10日(土)午後4時00分〜午後6時00分
          場所 昭和女子大学80年館(西棟)5L44教室

<研究発表>
 午後4時〜午後4時50分
(1)発表者 福島昇先生(日本大学)
   発表題 トニ・モリスン『青い眼がほしい』におけるシェイクスピア『ハムレッ
  ト』の受容について---「私たちのイノセンスも死んだ」---
   司会者 清水純子先生(法政大学)

午後5時〜午後5時50分
(2)発表者 木内徹先生(日本大学)
   発表題 イシュミエル・リードの『春までの日本語』における新ヴードゥー主義
   司会者 清水純子先生(法政大学)   



第138回12月例会          日時 2017年12月9日(土)16:00〜18:00
                 場所 駒澤大学駒沢キャンパス9号館173教場

<研究発表>
発表者 水本孝二(日本大学)
発表題 発表題  英語前置詞の多様性:aboveとover について
司会者 岸山睦 (昭和女子大学)

発表者 伊藤由紀子 (東京電機大学)
発表題 Lessons Learned from the Recent Issued Books on Japanglish
司会者 中井延美(明海大学)


第137回6月例会          日時 2017年6月17日(土)16:00〜18:00
                 場所 駒澤大学駒沢キャンパス9号館287教場

<研究発表>
発表者 染谷昌弘(東洋大学)
発表題 発表題 The Foxとirony
司会者 加藤英治(法政大学)

発表者  岩崎宏之 (茨城県立医療大学等(非)
発表題  英語史におけるthat痕跡効果に関する一考察:その出現時期をめぐって
司会者  岸山 睦(昭和女子大学)


第136回3月例会  日時 2017年3月11日(土)16:00〜18:00
  場所 駒沢大学駒沢キャンパス8号館258教室

(1)発表者 Yutai Watanabe先生(法政大学)
  発表題 The Concept of EIL in the Suggested Course of Study in English 
  (1947/1951)
  司会者 中井延美先生(明海大学)

(2)研究報告Yutai Watanabe先生(法政大学)
  発表題 English as a Lingua Franca in Japan: A Brief Comparison with
  Mainland Europe
  司会者 中井延美先生(明海大学)


第135回12月例会  2016年12月10日(土)午後4時00分〜午後6時00分
              場所 昭和女子大学80年館西棟2S41教室(2階)
 
(1)発表者 藤木智子先生(日本大学)
   発表題 『ロミオとジュリエット』ー周縁の人々の祝祭性
   司会者 福島昇先生(日本大学)

(2)協議・話し合い(諸議題あり)
  

第134回6月例会  2016年6月18日(土)午後4時00分〜午後6時00分
              場所 昭和女子大学80年館西棟4S41教室(4階)
 
 「18世紀末から19世紀初頭における、イギリス文学とドイツ文学との関係
 ――主としてコウルリッジとドイツ文学者とを巡って」

    発表 大正大学 高山信雄
    司会 法政大学 日中鎭朗


第133回3月例会  2016年3月19日(土)午後4時00分〜午後6時00分
              場所 昭和女子大学80年館西棟3S41教室(3階)
 
(1)英語の前置詞句主語構文の習得と通時変化:統一的枠組みの構築に向けて
    発表 筑波大学 岩崎宏之
    司会 明海大学 中井延美

 (2)マーク・トウェイン、C・D・ウォーナー『金メッキ時代』
    ――作品から読み取る著者の時代との向き合い方
    発表 元立正大学  錦織裕之
    司会 昭和女子大学 須永隆広

第132回 2015年12月12日(土)午後4時00分〜6時00分
               昭和女子大学80年館西棟4S41

(1)ジョージ・エリオット作『ダニエル・デロンタ』
   ーーロマンスと現実:東洋仏教文化の瞑想ーー
   発表 駒澤大学 高野秀夫
   司会 東洋大学 大野直美


(2)Portfolio Assessment for Academic Skills in English Reading Classes  
   発表 昭和女子大学 Kristie Sage
   司会 明海大学   中井延美


第131回 2015年6月13日(土)午後4時00分〜6時00分
               昭和女子大学80年館西棟3S41
 
(1)「英語資格試験に関する一考察ーー数値化された結果から見えるもの」
   発表 明海大学 中井延美 野上文子
   司会 拓殖大学 水野晶子


(2)English as a lingua franca: Perspectives and issues in the Japanese
  ELT context  
   
   発表 法政大学    Yutai Watanabe
   司会 昭和女子大学  Kriste SAGE


第130回 2015年3月14日(土)午後4時00分〜6時00分
  昭和女子大学80年館西棟3S41教室
(1)「医療英語における日常語の専門的使用に関する考察」
                首都大学東京 小山田 幸永
             司会 昭和女子大学 岸山 睦  
(2)『パミラ』から『トム・ジョーンズ』へと至る道ー『ジョウゼフ・アンドリュー
    ズ』を経由して
                駒澤大学 白鳥 義博
             司会 十文字学園女子大学 落合 真裕


第129回 2014年12月13日(土)午後4時00分〜6時00分
         昭和女子大学<研究館>6S02教室  
(1)『牧師の娘たち』と『脱構築』
                東洋大学 染谷 昌弘
             司会 法政大学 加藤 英治

(2)「英語の教材研究:ポップカルチャーの活用〜アニメ・マンガを中心に」
                駒澤大学 白鳥 義博
             司会      錦織 裕之     


第128回 2014年6月14日(土)午後4時00分〜6時30分
  日本大学通信教育部1号館地下会議室B
(1)リチャード・ライト研究年表―大宰治研究年表との比較において
             日本大学 木内 徹
          司会 日本大学 平塚 博子

(2)English as a Medium of Instruction: EU and ASEAN
             昭和女子大学 Kristie Sage
          司会 昭和女子大学 岸山 睦


第127回 2014年3月8日(土)午後4時00分〜6時30分
           日本大学生産工学部
           津田沼キャンパス37号館301教室(正面8階建ての建物
(1)Being Perceived as a ‘Native English Speaker’
             法政大学 渡辺 宥泰
          司会 昭和女子大学 クリスティー・セージ

(2)A Masque presented at Ludlow Castle, 1634 に関する一考察
   ―『1645年版詩集』における位置づけ
             日本大学大学院 桶田 由衣
          司会 東洋大学 石和田 昌利


第126回 2013年12月14日(土)午後4時00分〜6時20分
            日本大学通信教育部1号館地下会議室
(1)コールリッジの批評の原点
             大正大学   高山信雄
          司会 法政大学(元)山岸二郎

(2)英語の授業での成功体験を――授業の中での様々な試み――
             拓殖大学 水野晶子
          司会 明海大学 中井延美


第125回 2013年6月8日(土)午後4時00分〜6時20分
           日本大学通信教育部1号館303教室
(1)「小学校英語実践報告」〜音声面における誤用についての一考察〜
   明海大学 野上文子
司会 明海大学 中井延美

(2)ラティガン劇におけるユーモア ハリクイネードの場合
   十文字学園女子大学 落合真裕
司会 駒澤大学      白鳥義博


第124回 2013年3月9日(土)午後4時00分〜6時20分
   日本大学通信教育部1号館303教室
(1)Paradise Lostにおける "evil" と "pain"             
   日本大学(非) 野村宗央
司会 東洋大学   石和田昌利

(2)イーディス・ドンビーは「高慢」か―『ドンビー父子』再考―       
    日本大学(非) 角田裕子
司会 中央学院大学  市川仁



2012年度以前の内容については以下をご参照ください。

月例会アーカイブ(〜第123回)



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