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日時:2023年6月10日(土)
会場:昭和女子大学 8号館西棟 5S42教室 (予備:5S43教室)
<研究発表>
16:00〜16:40 第1発表
発表題:工学教育における英語論文読解指導法の検討
発表者:今滝暢子 (日本大学)
司 会:小野雅子 (明海大学)
発表要旨
工学系を専門とする大学生が英語運用能力を身につけることの重要性が指摘されて久し
い。英語運用能力にも様々な側面があるが、技術者・研究者として活躍するためには、 ジャーナルに掲載される英語論文を読みこなし、最新の情報を取り入れ続けることもひ とつの不可欠なスキルと考えられる。
しかし、一見すると英語学習のためのリソースには事欠かない現代にあっても、日本の
大学生が英語論文の読解スキルを十分に修得して巣立っているとは言い難い状況にあ る。発表者の所属する理工系学部の学生からは、「単語が難しい」「読もうとしても途 中で読む気が失せてしまう」等の声が聞かれ、教員からは「ゼミの学生が英語論文を読 めなくて困る」と憂えるコメントも届いている。
「学生が英語論文を読めない」という問題は、学術論文中に学生にとっての未知の語彙
が多いこと、読解に時間がかかりすぎること、動機づけが不十分であること、あるい は、英語論文読解のための体系的な指導が行われていないこと等の、様々な要因が複雑 に絡み合って構成されていると考えられる。
工学系分野で学ぶ大学生が、自分の専門内容の論文を「読める」ようになるための一助
として、合理的な読解のための指導法を打ち出すことは、現代における学習者および教 員のニーズに応えるものであると考えられる。本発表では、日本の大学における読解指 導の現状を概観した上で、工学系分野の学生を対象としたより効果的な指導のあり方に ついて検討する。
16:45〜17:25 第2発表
発表題:パーシグ『禅とオートバイ修理技術―価値の探求』―実験小説におけるプラグ
マティズム
発表者:上野俊一 (日本大学)
司 会:本間章郎 (駒澤大学)
発表要旨
ロバート・M・パーシグの『禅とオートバイ修理技術―価値の探求』(Zen and the Art
of Motorcycle Maintenance: An Inquiry into Values, 1974) は、世界的ベストセラ ーであり、最も売られた哲学書のひとつである。「クオリティとは何か」という形而上 学の問題の探求とミネソタ州ミネアポリスからサンフランシスコまでの17日間のオート バイでのツーリング体験を組み合わせたこの哲学小説は、パーシグにとっての壮大な実 験であり、そのアプローチはエマソン、ソロー、ウィリアム・ジェームズといったアメ リカ思潮の主流であるプラグマティズムの流れを汲むものである。例えば、オートバイ に乗ってツーリングする自分をプラトンの対話篇のひとつである『パイドロス』の登場 人物であるパイドロスに見立て、ナレーターとしての自分をソクラテスに見立てること により、「クオリティとは何か」といういわゆるハード・プロブレムに立ち向かおうと する。この発表では、『禅とオートバイ修理技術―価値の探求』を実験小説として捉 え、その手法と経緯と結果が続編の『ライラ―モラルの探求』(Lila: An Inquiry into Morals, 1991) にどのように引き継がれていくかについて考察する。
17:30〜18:10 第3発表
発表題:哀歌の呪文――ポーの「アッシャー家の崩壊」に響く音楽の物語効果
発表者:河野智子 (神奈川工科大学)
司 会:大木富 (神奈川工科大学)
発表要旨
本発表では、エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」の主人公ロデリックが
奏でる音楽の描写に着目することで、ポーの音楽が、物語の進行を導く序曲としての効 果をもつことを論証する。さらに、物語全体に渡るこの響きが、主人公や語り手のみな らず、読者にも影響を及ぼすことで、我々読者はポーの物語を自在に操ることが可能に なるという考察を示す。
五感が異常に敏感になる神経障害を患う主人公ロデリックは、特に音に対して異常に敏
感であり、まるで「吊るされたリュート」のように、張り詰めた弦楽器のような存在で ある。彼はひとりでは音を出すことができないが、語り手が彼に接触し、弾き手を得た ことで演奏ができるようになり、ギターを奏でて「魔の宮殿」と題する即興曲を作る。 ロデリックが妹マデラインの死を悲しんでいたことから、彼の演奏はその死を悼み弔う ための埋葬の哀歌であるように思われるが、葬られたはずのマデラインは、棺を破って 這い上がり、経帷子をまとった姿でロデリックの目の前に現れる。実は、「魔の宮殿」 は、到底、弔いにふさわしい詩ではなく、リュートの調べが乱れた音に変化し、その不 協和音に合わせて物の怪が妖しく動きまわるような、死の世界から何か恐ろしいものが 押し寄せてくる光景が描かれており、死者を弔うどころか、亡者を眠りから呼び起こす ような、呪文のような詩である。マデラインは、ロデリックと語り手がある騎士道物語 を読んでいた時に死の世界から這い上がってくるが、その物語で音の描写が読まれると き、その音がその場面の実際の音として聞こえてくる、という奇妙な現象が起こる。ま るで不協和音のように物語全体に響くこれらの音の一致は、亡者をこの世に呼びもど す、ロデリックの最後の呪文の言葉を導き、マデラインの姿が現前する。ロデリックが 奏でる音楽は、埋葬の哀歌でありながら、死者を墓から呼び戻すものでもあり、死者の 生死を自在操る呪文を導く序曲である。本発表では、この序曲を奏でるのは、実は語り 手、すなわち読者であると論じ、ポーの物語で描かれる音楽が、我々の心的世界を自在 に動かす呪文を導く効果を持つと論じる。
日本英語文化学会第26回全国大会を、下記の通り対面開催します。
開催日:2023年9月1日 (金)
会場:十文字学園女子大学 〒352-8510 埼玉県新座市菅沢2-1-28
発表希望者は、全国大会応募用紙に必要事項を記入の上、7月9日 (日) までに、事務
局 (jaesjimukyoku@gmail.com) まで提出してください。
日本英語文化学会会員の皆様
平素は大変お世話になっております。日本英語文化学会事務局です。
このたび、学会口座を変更しましたことをお知らせいたします。今後会費をお振込みい
ただく際は以下の三菱UFJ銀行の口座にお振込みいただければと存じます。
会費はこれまでどおり、一般会員5,000円、学生会員2,000円、賛助会員は10,000円で
す。
なお、ご自身の未納状況が不明である場合は、会計担当の三幣(4/30まで) (minusa@
tokai.or.jp)、または橋 (5/1より) (osuicu0109@hotmail.co.jp) にお問合せくださ い。
(振込先)
三菱UFJ銀行 浦安支店 (店番361)
普通預金 口座番号1050773
日本英語文化学会
学会口座変更に伴いまして、領収書を希望される場合は上記会計担当までご連絡をお願
いいたします。
今後はご連絡がない場合は領収書の送付はいたしませんのでご注意ください。
その際、ご自宅以外 (勤務先など) への送付を希望される場合や、領収書の宛名の前に
勤務先を記入する必要がある場合 (例:〇〇大学+氏名) など、
なにかありましたら併せてお知らせください。
日本英語文化学会事務局
★お知らせ★
1)今年度のニューズレターが学会HP上で公開されました。ぜひご覧ください。
2)名簿について:随時更新していますので、ご住所、電話番号または所属先等で変更
がありましたら本メールにてご報告いただきますようお願いいたします。
3)会費について: 2022年度年会費については、過去の未納分も含めて12月末までに完
納していただきますよう、お願いいたします。(すでにお振込みいただいている場合は ご放念ください)
12月末までに納入されませんと今年度中の領収書発行ができませんので、ご留意くださ
い。なお、ご自身の未納状況が不明である場合は、会計担当の三幣(minusa@tokai.or. jp)までお問合せください。
(1)入会を希望する方は、メールフォームに必要事項をご記入して、日本英語文化学
事務局までお申し込みください。
後日事務局から確認のご連絡をさせていただきます。その後、下記の口座に年会
費(一般会員:5,000円、学生会員:2, 000円)を振り込みいただきますように
お願い申し上げます。
日本英語文化学会事務局 jaesjimukyoku@gmail.com
三菱UFJ銀行 浦安支店(店番361)
普通預金 口座番号1050773
日本英語文化学会
本会で研究成果を発信する際の諸規定については、会則および投稿規定をご覧
く ださい。
(2)現会員の方についても上記の口座に年会費(一般会員:5,000円、学生会員:2,
000円、賛助会員は10,000円)を振り込み下さい。
* 住所、電話番号、所属先に変更が生じた場合は、速やかに事務局までご連絡をお願
いいたします。 ![]() |